「発達障害」ではない?―女の子は気づかれない場合が多い。

発達障害、男女の違い

私は、名古屋市内で発達障害を持つ小学校1年生から高校3年生を対象とした放課後等デイサービスを運営しています。
なかでも女の子にターゲットをしぼって療育に力を入れてきました。これまでに100組以上の女の子とその保護者を支援してきました。その中で気づいたことがあります。

一般的に発達障害は、「男の子が8割、女の子が2割」といわれています。男の子の場合は、その特徴が比較的表に出やすく、幼いうちに発達障害だとわかりやすいのです。周囲を巻き込むことも多く、暴れる走り回るなど、迷惑行為としてわかりやすい形で見受けられるのです。ところが、女の子の場合はおしゃべりが止まらずに仲間内で浮いている、逆におとなしすぎて目立たないなど、周囲を困らせるというよりは、本人が困っている傾向が強いのです。しかも周囲がその子の発達障害に気づかないケースも多く見受けられます。発達障害児には、男女ともに「不器用」という特性のある子が多く見受けられます。そして、男の子よりも女の子のほうが、社会では「器用さ」を求められます。女の子は普段から身だしなみや立ち居振る舞いについて、男の子よりも高いスキルを求められる傾向にあり、それは発達障害の女の子も同じです。こうしたスキルは、社会生活や家庭環境の中で、ある程度は自然と身についていくものだと思います。しかし、発達障害の女の子の場合は、自然には身につかないことが多く、トレーニングや練習が必要になります。

勉強や成績よりも重要になるのは、危険回避の術

さらに、彼女たちは発達障害だとわからないまま、地域の学校などに所属している場合が少なくなく、思春期以降になると、誤学習の積み上げなどの影響などから、望まない妊娠や性の搾取などといった危険な状況に置かれる事例が少なくありません。ところが、思春期前の学齢期のお子さんをお持ちの保護者や支援者の方の相談や悩みの多くが、じつは学校の勉強や成績についてなのです。周囲の人が性差の問題意識を持っていないことが、こうした状況を招くひとつの要因になっているのではないかということに私は気づきました。

また、当事者も自分の身体を大切にすることを理解していないことや、ネット情報からの誤学習もとても大きな問題です。
これらのことは、幼いうちから正しい情報を教えていけば回避できる部分があると思うのです。日常生活を送る中で、発達障害の女の子が安心・安全に生きていくために、保護者や支援者が気をつけるべき点、知識として理解しておいたほしいことなどを47のルールとしてまとめました。

ー『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』はじめにより

 

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―藤原美保(Fujiwara Miho)

藤原さん250

健康運動指導士、介護福祉士。
株式会社スプレンドーレ代表。
エアロビクス、ピラティス、ヨガインストラクター等フィットネスのインストラクターとしてスポーツクラブ、スポーツセンターでクラスを担当。発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目のあたりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。

その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げる。100組以上の発達障害の女の子とその保護者をサポートしてきた経験を踏まえ、実践の場からの声を届けるために、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』を執筆。

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㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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