○○療法に振り回されない、使い方!

1日何回したらいいですか?

たとえば、「発達OT」と呼ばれるセラピストが行う身体図式の発達を促し、他人とのコミュニケーション能力を高めることが期待できる「感覚統合療法」では、粗大運動は重要だと考えられていて、一般的にはトランポリンやブランコがよいといわれています。

よくある勘違いが、「何回ぐらい跳ばせるといいですか?」という質問です。感覚統合療法の目的はトレーニングではないので回数は関係ありません。

認知特性や身体の使い方の未熟さから誤った情報処理が行われていないかを確認し、それを修正することが目的です。身体をうまく使えるようになると他人への関心が高まり、コミュニケーションが増えるようになると、こだわりが減ることもわかっています。

発達障害の女の子にバレエ・ダンス・姿勢教育を!?

トレーニングは昔は自然とやっていたこと。遊びのようにできることも多い。

トレーニングの様子を見ると、ただ遊んでいるように見えるかもしれませんが、実際には子どもの感覚情報取得の歪 いびつ さや、身体スキルの未熟さや不安定さを観察しています。

そして、その子の好きな遊びを通じて、人と関わることやできることを増やしていくのです。したがって、これらの○○療法では、作業療法士や心理士が子どもと親に面接を行い、その子に合わせて目的を持ちプログラムを組みアプローチを行うようにしているのです。

○○療法を取り入れる目的を専門家に相談しつつでいいので、考えてみてください。

ときどき保護者から、「○○療法はうちの子には合わなかった」と相談を受けますが、多くは、「〇〇療法がよさそうだから」という動機で始めています。目的をしぼり込んだ上でそれを行う環境とシチュエーションを整えなければ、せっかくの試みも無駄になるのです。

子どもをよく観察し、目的に合わせて○○療法を取り入れてほしいと思います。くれぐれも、「誰でもできる〇〇!」とか「ちまたで話題の〇〇療法」といった○○療法に子どもを合わせるようなことは避けていただきたいと思います。

―『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』ルール18 療育は「目的」を絵味覚にしてからチャレンジ! より

◆本書の紹介◆

発達障害の女の子の保護者や支援者が気をつけるべき点や、知っておくべき情報などを全6章、「47のルール」としてわかりやすくまとめたのが本書です。

1章 診断や医療機関の上手な使い方について

2章 親としての心構え、親のとるべき行動

3章 日常生活での支援と療育について

4章 健やかな生活を送るための学校選び

5章 女の子に必要な「学び」-思春期と性教育

6章 療育支援Q&A

「何度注意してもやめてくれません?」

「プライドが高くて注意するとパニックになります」

「新しい場所や新しいことが苦手です」など。

豊富な経験や、専門家からのアドバイスをもとに著者が作りあげてきた「発達障害の女の子たちが幸せに生きていくためのノウハウ」です。

ぜひご活用ください。

―藤原美保(Fujiwara Miho)

藤原さん250

健康運動指導士、介護福祉士。株式会社スプレンドーレ代表。エアロビクス、ピラティス、ヨガインストラクター等フィットネスのインストラクターとしてスポーツクラブ、スポーツセンターでクラスを担当。発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目のあたりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げる。

100組以上の発達障害の女の子とその保護者をサポートしてきた経験を踏まえ、実践の場からの声を届けるために、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』を執筆。

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㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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