5万組以上の親子を見てきた花まる学習会の代表 高濱正伸さんとラグビー界で「コーチのコーチ」として活躍する中竹竜二さんの人育て=子育て論を見ていきます。
■中竹竜二さんの主張リーダーの定義が代わり、フォロワーシップへ⁉
私は、日本には「フォロワーシップ」という言葉が必要だと思い、『リーダーシップからフォロワーシップへ』という本を書きました。リーダーは、下の者を引っ張っていかないといけないと多くの人が思いがちですが、それだけがリーダーの仕事ではないと考えているからです。
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歴史を紐解いても、リーダーは群れを引っ張ると同時に、群れを支えることをやっています。リーダーと呼ばれる人も、フォロワーをやらないといけない。要するに、引っ張ることも支えることもできてこそ、真のリーダーなのです。
リーダー論を考えたときに、チーム(群れ)を引っ張るのも、見えないところで支えるのも、どちらもチームにとって必要な「技術」でしかないと私は考えました。
今までのリーダーは誰よりも優れていた
これまでは、リーダーはチームを引っ張る牽引車的な存在であり、したがってチームの誰よりも優れている必要があるという意識が強くありました。知らないことがあっても、知っていると装わなければいけないとか、弱音を吐いてはいけないとか、あらゆることを完璧にしていないと威厳が保てないというような風潮があったと思います。
また、チームを引っ張るときには、みんなが納得できる意見を言ったり、ピンチのときには表立って対応することが求められたりしていました。それが成功したら「リーダーのおかげ」と言われるような、ある意味わかりやすい形が望まれたのです。
それに対して、フォロワーシップは表立って目に見える形ではなく、黒子に徹した貢献が必要です。目に見える成果を出すことがリーダーの役割だと勘違いしてしまったことで、リーダーの定義が狭くなってしまったように思います。目に見える活躍をする人がいるというのは、その陰で支えてくれたり、見えないところでサポートしてくれたりする人がいてこそなのです。そういう意味で、フォロワーシップが組織を成長させてきたと言っても過言ではありません。とするならば、フォロワーシップをリーダーが身につけることも必要だと私は考えました。
環境が目まぐるしく変化するこの時代だからこそ、リーダーという役割の人は、目に見えるリーダーシップ以外の「フォロワーシップ」という役割も求められていると思います。言い方を変えれば、全員がリーダーシップとフォロワーシップを持つ組織が、目まぐるしく変化するこの環境に対応し得るのではないかとさえ思うのです。
■高濱正伸さんから親へ!ここを考えて!新時代のリーダーシップ、フォロワー論
中竹さんのフォロワーシップについての考え方にはとても感動しました。
単純に立派なリーダーを目指すのではなく、名フォロワーになることも価値があることなのだということや、リーダーになったとしても支える役割も重要なのであるという、多面的で豊かな視点は多くの人を救うと思います。
今後は、リーダーシップの育成の仕方と同じくらいフォロワーシップの育て方も注目が集まっていくでしょう。
―『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』より抜粋・編集 ※対談で高濱正伸先生が登場します!
◆『オフ・ザ・フィールドの子育て』の紹介◆
本書では、「多様性」というキーワードに着目し、それを独自に育んできたラグビーに学ぶことで、子どもたちに多様性を身につけてもらえる、子育てをよりよくできるのではないかと考えました。教えてくれるのは、「コーチのコーチ」をしてきた“教え方のプロ”である中竹竜二氏。
さらに、花まる学習会を主宰する高濱正伸先生から、著者の考えに対して、「子育て」や「学び」の観点から、適宜コメントを入れていただきました。
また、巻末にはお二人の対談を掲載し、ラグビーに学ぶことの意義についてご紹介しています。
改めて「ワンチーム」という言葉の意味や、ラグビーが大事にしてきた「オフ・ザ・フィールド」という考え方を知ることで、わが子の個性をどのように活かしたらよいかを考えるきっかけとし、わが子が実際に輝ける場所を親子で一緒に見つけてほしいと思います。
“サンドウィッチマン推薦! ”
ラグビーがなかったら、いまの俺たちはいなかったと思う。「中竹さん、ラグビーから学んだことは、今に活きています! 」