迷ったら進め―20代で選択すべきは、安定した道か、茨の道か。

私には若い人に勧めたいことが3つありますが、その1つめは「理系」で技を身につけることです。

(中略)

技術というのは〝基礎戦闘力〞だと思います。私のまわりのコンサルタントも理系出身者が多く、技術がわかっている人はやはり強い。理系というのは物事を因数分解してロジカルに考える学問なので、それがあるとビジネスでも課題構造をつかんで解決策を考えられるので、「強いな」と感じます。

次に「海外放浪」。私は若いうちはあまり海外に行っていなかったのですが、これからグローバルに生き抜いていくためには異文化の許容がとても大事になると思っています。

現地で文化の違いを感じよう!―多国籍での焼肉も貴重な経験に

異文化を許容していく中で、自分自身のアイデンティティーというか、自分が何者かということが理解できる。そのためにはいろいろなところに行って、たくさんの人と触れ合うことです。パラドックスですけれど、そうしない限り自分という人間を見つけられない気がします。

最後の1つが「起業」。やっぱりビジネスは最高のエンターテインメントだし、最高の学びの場です。人に何かを提供してお金を稼ぐのは、短期的にはだましが効いても、中長期的にはだますことなんてできません。自分がつくっているもの、やっているサービスが社会に受け入れられるかどうかは、壮絶な仮説検証なのです。もし受け入れられなければ負け。負けるともちろん直接お金に跳ね返ってきます。

起業すると、どうやってお金が入ってくるのか、お金がどのように世の中を回っているのか、そうしたお金のリアリティーがとてもよくわかるようになる。今は30年前と違って、社会全体に起業しやすい環境が整っているので、それを利用しない手はないと思います。

(注略)

選択肢がいくつかあって迷うとき、「迷ったら進め! 」が私の信念です。迷ったら止まれではなく、迷ったら進めです。当然タフなときのほうが多かったけれど、やらないで後悔することだけは絶対に嫌なのです。

失敗したっていいじゃないですか。「失敗からじゃないと人は学べない」という言葉もある。どうせ失敗するなら、若いうちにいっぱいしておいたほうがいい。年を取るとだんだんと失敗しづらくなってきますから。

大会社とか銀行とか、安定した会社に入るのも1つの選択肢として否定はしないけれど、一方で20代のうちは茨の道を歩んでいたほうが、のちの30代、40代、50代になってから結構大きく活きてくるのではないかと思っています。

―木村尚敬( Kimura Naonori )

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株式会社経営共創基盤 パートナー

取締役マネージングディレクター

1968年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。レスター大学経営大学院修了、ランカスター大学経営大学院修了、ハーバードビジネススクールAMP修了。経営共創基盤にて製造業を中心に経営改革や事業強化など、様々なステージにおける戦略策定と実行支援を推進する。主な著書に『ダークサイド・スキル』(日本経済新聞出版社)がある。

教育界の革命児 高濱正伸さんとの異色のコラボで『SD20 20歳からのセルフデザイン』を上梓。

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㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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