大久保寛司’s RADIO「あり方研究室」VOL.7 「出来るまでやり続ける」
大久保寛司さんのRADIO「あり方研究室」!
第7回のテーマは「本気であること」です。
■VOL.7「あり方研究室」〜「出来るまでやり続ける」〜
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大久保寛司さんは、長年、日本中のいい会社と呼ばれるありとあらゆる企業を訪問し、その本質を洞察し、その経験を活かして、多くの経営者から師と仰がれ、のべ10万人以上の人の行動を変容させてきた「伝説のメンター」と呼ばれる方です。
令和の時代、そしてWithコロナの時代は、「あり方」の時代になっていくと思います。
これまでは、目を外に向けて、社会の中でどう上手くやっていくか、どうしたら、この社会に適合し、成功するかといった「HOW TO=やり方/LIFE STYLE」がフォーカスされ、よりよく成長しながら生きていくという視点が主流でした。
これからは、指を自分に向けて、ありのまま、あるがままの自分とつながって、日々、自分はどうありたいかという「BEING=あり方/LIFE STANCE」をセンターにして、自然に豊かに生きていくという観点にシフトしていくのではないでしょうか。
〜この研究室は、私が皆さんと共に学ばせていただく場です〜大久保寛司
「あり方」について、「教えてほしい」という姿勢ではなく、自分なりに考え、学ぼうとする方は、皆さん、この研究室の研究員です。
共に学んでいきましょう!
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「あり方研究室」VOL.7
今回のGUESTは、NPO法人GLOBE JUNGLEの加藤南美さんです。
加藤南美さんは、10代の頃、東南アジア諸国への一人旅がきっかけで、カンボジアの孤児院の子どもに出会い、目を輝かせて夢を語る子ども達に感銘を受け、カンボジアでの支援活動を開始します。その後、貧困女性の自立支援を行う「NATURAL VALUE」を設立し、現在はNPO法人GLOBE JUNGLEにて、貧困女性の貧困脱却への職業提供支援「NATURAL VALUE PROJECT」の統括リーダーとして活動中です。
「NPO法人 GLOBE JUNGLE」
カンボジアの首都とシェムリアップの両都市に拠点を持つNPO法人。カンボジア国内の貧困家庭やそこで生まれ育つ子ども達に対して、教育の機会の提供や彼らが自立した生活を送れるためのサポートを行う。対象者は子ども達だけではなく、大人達への教育・職業訓練も行っている。
応援してくださる方とカンボジアがしっかりと繋がって、お互いの笑顔が見えるような「支援の見える化」を目指し、苦しみの中から生まれる支援ではなく、笑顔の連鎖でカンボジアと日本をハッピーにしていきたいとの想いを込めて、「まわりめぐるハッピー」を合言葉に活動中。
VOL.7のRADIOから、一部内容を抜粋してご紹介します。
VOL.7「出来るまでやり続ける」
加藤:私は、2011年から、カンボジアの支援活動をしています。NPOとして、主にカンボジアの貧しいエリアの子ども達に対する教育支援や生活が大変な方たちに対する自立型の支援を行っています。プロジェクトが7つほどありまして、学校建設をしたり、学校を建てた後のエリアに対する、奨学金の支援、孤児院の運営、また、貧困女性の就労支援として、職業訓練の工房を運営したりしています。私自身は、1年間の半分以上はカンボジアにいて生活をしています。
大久保:カンボジアと日本と、住んでいてどちらが落ち着くんですか?
加藤:自分自身の細胞というか、体が喜んでいるって感じるのはカンボジアにいるときです(笑)。支援活動を通して、自分の仕事が、誰の笑顔に変わったのかということを、ものすごく現場で感じ取ることができます。そうすると、人のお役に立てていると言うと、大げさなんですけど、人の人生に関わらせていただいている瞬間を感じる度に、自分の細胞というか、魂が喜んでるというのを感じる瞬間が多いですね。
大久保:南美さんは19歳くらいから支援を始めて、今、20代後半ですが、今までにいくつぐらいの学校を建ててこられましたか?
加藤:NPOグローブジャングルとして、これまでに31校の学校建設と修繕を行ってきました。卒業生は、毎年更新されていますが、3万人を超えています。
大久保:皆さん、びっくりされるかもしれませんが、実は、学校を建てても、それだけでは、生徒は継続して来ないんだそうです。卒業するところまでいかない。ある意味、日本のいろいろな方が、真心をもって学校は作っているんですが、その後、ちゃんと運営されているかまで見ている方はそんなには多くないんですね。
加藤:やはり、建てたあとのケアをどうするかというのが結構、大切になってくるので、ハードを固めただけでは、問題の本質ってのは、解決されないんです。カンボジアの公立学校って、基本的に無償なんですね。でも、テストを受けるのにお金が必要だったり、プリント代が必要だったり、教科書を買わなきゃいけないって、いろいろとお金がかかってくるので、教育にかかるお金を払うことができないという理由で、学校は目の前に建っていても、授業を受けることができない子どもたちがたくさんいたんです。
日本は、1年生は1年経ったら、2年生になれるんですけど、カンボジアは1年に1回進級テストというのがあって、合格しないと1年生は2年生になれないんです。その進級テストの傾向と対策を教える補習校という授業があって、それは授業とは別の時間にやるので、お金がいるんです。
子ども達にお金を渡すというのは難しいので、学校建設をした後に作った、「パパママ大作戦」というプロジェクトがあります。
大久保:どんなプロジェクトですか?
加藤:カンボジアの子どもたちが1年間学校に通うのに、大体1万2000円ぐらいのお金がかかります。そのお金を日本の支援者の方に、「カンボジアの我が子のパパとママになって応援してもらう」という一対一の関係をつくるという支援活動です。1年に1回、子どもたちから、日本のパパママへお手紙が届いたりとかします。トータルすると8500人くらいの方にご支援いただいています。
「1年間事業を頑張って、会社としても納税をして、社員を幸せにした。よし!今年ももう一人応援できるようになった!」ということで、事業を拡大する自分へのご褒美として1年、1人ずつの支援を増やしていってくださっている方もいらっしゃいます。
大久保:そのプロジェクトは、客観的に見ると、支援される人も、支援する人も幸せになっていますね。
加藤:支援者の中には、我が子に対するお手紙とかを送ってくださる方もいて、そのお手紙を私たちがお預かりして、クメール語に翻訳して、子どもに渡したり、自分が頑張って預けたお金が、誰の人生を良くしていて、誰の笑顔に変わったんだろうということを感じていただけるような、心温まる支援関係を作りたいと思って運営しているプロジェクトです。
大久保:給食にも力を入れているんですよね?
加藤:私たちが応援をしている学校の8割~9割ぐらいが貧しいエリアだったので、子どもたちは頑張って、学校に通ってきているんですけど、なぜか学力が上がらなかったんですね。
「どうしたらいいのだろう?」と調べたところ、子どもたちは、朝ごはんを食べずに、もしくは、前日の夜からろくに何も食べずに、学校に来ていたので、お腹が空きすぎて、授業に集中できないという問題を抱えていたんです。そこで始めたのが、「米米マンプロジェクト」という、ふざけた名前でやっているんですけど、給食支援をする真面目なプロジェクトです。
子どもたちには、まず、朝、学校についたら、席に座って、「いただきます!」と、朝ごはんを食べてもらうことから始まります。おなかいっぱい食べた状態でそこから授業に入ってもらうんです。給食をやる日は、近所の学校に通っていない弟妹とかもいっぱい学校に来て、みんなで朝ごはんを食べるんです。調理も、地域のお母さんたちにちょっとお手当てをお支払いして、地域からお米を買ったり、野菜を買ったりして、そのエリアで取れるお粥を作ってもらっています。
大久保:それで、子どもたちの学力は上がりましたか?
加藤:はい。やはり、体が資本と言われるだけあって、ハード面を整えるだけではなく、心と体の環境を整えるのがいかに大事なのかということを私たちも知るきっかけになりました。この給食も、日々更新されていってるんですけど、10万食を超えました。
大久保:私は、7年ぐらい前から、彼女の活動のご支援をさせていただいてるんですが、最初にお話を聞いた時に驚いたのは、実は多くの方は、学校を作って、おしまいになっているということでした。「何のために」というところに行っていなかったんですね。学校を作ることが目的ではなくて、学校を作って、生徒に来てもらって、国の基盤とは、子どもたちの教育ですから、きちんと子どもたちが卒業するまでいかないと、実は学校を作った意味はないんですね。
南美さんが、本当にすごいなと思ったのは、学校をつくっておしまい、ではなくて、「なぜ、来ないんだろう?いや、貧しいから来れないんだ。だったら、そこに別の形で支援金を出していこう」と。「来れるようにはなったけれど、学力が上がらないのはなぜだろう?お腹が空いてるから。じゃあ、給食を整えよう」と。その結果、子どもたちは卒業することができるようになっている。これって、実は、仕事でもなんでも同じことで、物事の本質を捉えているなと思ったんですね。
常に「何のために」が意識にあって、どこまできちんとその通り、進捗できているかを確認、検証しているわけです。そしてダメな場合は、「なぜなんだろう?どういう風に手を打ったらいいんだろう?」と考えていく。これは、私からすると、どんな人が聞いても参考になる話なんですね。
加藤:学校建設のアフターケアをしている時に、ある子どもが帰ってきて、お父さんやお母さんを差し置いて、まっすぐ私の元に駆け寄ってきて、手を合わせて、「今日も南美さんのおかげで学校に通えました。ありがとうございました」と挨拶をしてくれたんですね。
その時に、ものすごく嬉しかった思いと反面、すごく複雑な気持ちになってしまいました。「なぜ、この子は、自分を産み育ててくれた両親を差し置いて、4000Kmも離れた異国から来た私に、まず、お礼を言わなきゃいけない環境にあるんだろう?もし、お父さん、お母さんにお金があって、自分たちの子どもを学校に通わすことができたら、この子は、自分を産んで育ててくれた親に、まず真っ先にお礼を言うことができるのに。その環境を作れていないのは、私だ!」ということに気づいたんです。
「これじゃダメだ。もっと終わりのある支援がしたい」と、そこから大きな方向転換をして、地域のお母さんたちに対する職業訓練の施設というのを作りました。
私たちが活動しているエリアは、アンコールワットのあるシェムリアップから、約1時間ぐらい離れたガスも水道も通っていないような小さな村で、3000人ぐらいの人たちが暮らしています。そこに小さな工房を立てて、東南アジア最大級のトンレ・サップ湖で取れる水草を使ったかごバックの生産を行っています。現在は20名ぐらいのスタッフさんたちが働いてくれているんですが、最初は、私とカンボジア人のスタッフさん2〜3人から始まったプロジェクトです。
大久保:トンレ・サップ湖というのは、雨季になると琵琶湖の10倍くらいの大きさになるんですよね?そこに生えている水草を編もうと。それはすぐ実現できたんですか?
加藤: いえ、できなかったんですよね。いろいろな人に話を聞いているうちに、湖の近くに、一軒だけ、その水草をかごバッグに編める技術を持った家族があって、その技術を教えていただけるように、頼みに行きました。でも、ライバルが増えてしまうから、この技術は教えることができないということで、門前払いで、帰らされてしまいました。
結局、あの手この手で、手を替え品を替え、半年ぐらい通いました。
もう日課のようになってきて、口説き落とすのが目的なのか、はたまた会いに行くのが目的なのか(笑)。最後は相手が根負けをして、教えていただけることになりました。
大久保:南美さんの中には、諦めるという思考回路がないんですね。1ヶ月、2ヶ月断られたら、普通はやめますよ。
私が、彼女から学んだことの一つは、何かを実現する人に共通する特徴です。諦めない。諦めるという思考回路がない。
そういう人は、何か不具合があって進まないときは、「どうしようかな?」と考えるんです。「もうダメだ」とは決してならないんです。
「ダメだ!では、次どうしよう?」という思考になる。
何かをやり遂げる人は、諦めるとか諦めないとかという風には考えていません。ひたすら、どうすれば出来るかだけを考え、出来るまでやり続ける。
ほとんどの人は、出来る前にやめてしまうから出来ない。
この極めてシンプルな法則を、私は南美さんから、あらためて教わったような気がします。
つづく。
✴︎加藤南美さんのお話は、中編に続きます。
✴︎「あり方研究室」は、音声でも配信しています。
大久保寛司(おおくぼかんじ)「人と経営研究所」所長
日本IBMにてCS担当部長として、お客様重視の仕組み作りと意識改革を行う。退職後、「人と経営研究所」を設立し、20年間にわたり、人と経営のあるべき姿を探求し続けている。「経営の本質」「会社の本質」「リーダーの本質」をテーマにした講演・セミナーは、参加する人の意識を大きく変えると評判を呼び、全国からの依頼が多数寄せられ、延べ10万人以上の人々の心を動かしてきた。
特に、大企業・中小企業の幹部対象のリーダーシップ研修、全国各地で定期的に開催されている勉強会では、行動変容を起こす人が続出している。
著書に、『考えてみる』『月曜日の朝からやるきになる働き方』『人と企業の真の価値を高めるヒント』など多数。
大久保寛司著『あり方で生きる』
■書籍「あり方で生きる」には、章ごとに、大久保寛司さんの音声ナビゲーションが付いています。
「はじめに」「おわりに」の部分は、下記から無料で聴けますので、よろしければ、こちらから、お聴きいただければと思います。
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VOL.7のお話に関連する「あり方で生きる」の中の1項目です。
44 「本気であること」
加藤南美さん 中編はこちらからどうぞ↓
▽大久保寛司’s RADIO「あり方研究室」VOL.8 「どんな人も変われる」
これまでの「あり方研究室」はこちらから、どうぞ!↓
㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。 |
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