「オープン」の世界と「クローズド」な世界が共存する新たな時代【エッセンシャル出版社が考える出版のミライ】

こんにちは!エッセンシャル出版社の小林です。

本日は「過去のヒットサービス」から、編集部の磯尾さんと出版のミライについて、考えてみました。

15~20年くらい前にmixiというサービスが始まる

Facebook、オンラインサロンというコミュニティへの進化・変化

この流れをスパイラル理論的にとらえ、これからのオープンコミュニティとクローズドコミュニティという点についてフォーカスしてみました。

そこから、出版・本のオープン性とクローズド性ということについても考えを巡らせてみました。

↓↓音声で聴きたい方はこちら↓↓

mixiというサービスは今でもありますが、15~20年前にmixiが始まった当時、爆発的に人気になったことを覚えています。

私も磯尾さんも、当時は、mixiのユーザーでした。

その頃はLINEもMESSENGERもまだなかったので、グループでやりとりをするときには、メールや掲示板を使うことが普通でしたが、タイムラグがあり、大人数でコミュニケーションをとることの難しさを感じていました。

しかし、mixiができたことによって、大人数でやりとりがしやすいということもあり、mixi上でコミュニケーションを多くとるようになりました。今ではTwitterなどで皆が行っているコミュニケーション(同じテレビやドラマなどを見て、リアルタイムに「この展開は予想外だった~!」「え~!!うそ~!」などのやりとり)も、その頃は、mixiでやっていたのです。

↓このようにmixiを振り返っている方たちもいらっしゃいます↓

その一方で、住まいや年齢、基本的には実名投稿をするFacebookも流行り始めていましたが、まだ多くの人がインターネットについて不慣れで、自分がどこの誰であるかを特定できる状態にする、素性をアップするということへの抵抗は、世間的にも結構あったように思います。ストーカーの怖さが社会的にも表出してきていた時期なので、私は、「実名や住まいなどをインターネット上に公開するサービスは、広がらないのではないか?」と思っていました。

ところが、その予想は外れ、今ではmixiよりもFacebookユーザーの方が圧倒的に多いのではないかと思います。(年代格差もありそうですが)

その一因は、「自分として発信する」ことで、発信内容の透明性、安全性ということが保障されるようになったからなのかもしれません。

更に、2003年にブロガー収入の要とも言えるAdSenseが始まったことで、自分がどのような人で、どのような考えを持っているのか、コンテンツなどを発信するブロガーと呼ばれる人々も増えてきました。(匿名、ペンネームでのブログももちろんありますが)

また、インターネットのオープン性というものの価値を考えても、情報に皆がアクセスできることが求められたのかもしれません。

そうしたオープン性、ひいてはグローバル化的な波が一段落を迎えると、次はトランプ大統領に代表されるようなナショナリズム指向、ひいては内向きな、まずは自国優先的な方向性、つまり、その流れの一環としてのクローズドな世界、クローズドなコミュニティであるオンラインサロンなどを求めるニーズも増えてきました。

多様性が叫ばれ、多種多様な人がいる世の中で、今や、繋がろうと思えば誰とでも、多くの人と繋がれる環境の中で、自分の有限な時間を、誰と繋がり、誰と一緒に生きていくか(それはお互いの時期やタイミングによって、どんどん変わっていくことも自然であるということも含む)ということを、それぞれが選び、より濃い繋がりを求めるようになってきたということなのかもしれません。

このように、今、世の中的には、オープンな流れ(開放系)と、クローズドな流れ(閉鎖系)の2つの流れが、共存しているのです。

たとえば、同じプラットフォームの中でさえ、オープンな場とクローズドな場の両軸が存在することがあります。YouTubeでは、一般公開の動画とメンバーシップの動画が共に存在しているとか、noteでは、無料記事と有料記事が両方あるといったようなことです。

■「オープン&クローズド」の可能性を出版・本にあてはめて考える

本というものは、基本的に、オープンに誰もが読めるものでもあります。お金を払った人だけが読めるものというイメージもありますが、図書館で本を借りることもできますし、貸してもらって読むこともできるという意味では、本来、「オープン」で読めるものなのです。

一方で、ここでしか読めない本、ここでしか買えない本、100人のコミュニティ限定で販売されたり、配られたりする本、1000人のコミュニティでしか読めない本といった、「クローズド」だからこそ生まれる価値も、今後はますます生まれてくるかもしれません。

今までは、「情報や本」を、いかにオープンに広げていくかということについて、出版社としては、力を入れてしまいがちでしたが、「クローズドな情報や本」という点においても思考し、取り扱っていく視点を持つことで、読者の方に、より多様な価値を提供できるようになるかもしれません。

さらに、「ここまでは無料、ここからの情報・やりとりは有料」など、有料と無料で、コンテンツを段階的にとらえるという視点もありますし、「同じ情報要素を、コミュニティ毎にそれぞれ異なる形に編集・加工して提供する」という視点もあるかもしれません。

また、同じ情報要素を、「読む」コンテンツと「見る」コンテンツと「聴く」コンテンツなど、発信する(受信する)媒体によって、変えていくという視点もあるのかもしれません。

エッセンシャル出版社としては、「有料・無料で段階的にコンテンツを編集する」/「読む、見る、聴くに合わせたコンテンツの提供」については、既に様々な取り組みや試行錯誤を行ってきていますが、「コミュニティ毎に異なるコンテンツの可能性」という点については、12月から、いろいろな試みを始めようと思っています。

時代は、常に、スパイラル的に変化し、進化していきます。

オープンだった流れが、クローズドに向かい、そして、スパイラルを描いて、また、オープンになり、またまたクローズドになっていく。

今は、この流れが加速する中で、同時に、オープンな世界とクローズドな世界が共存していくようになっているという仮説のもと、出版社として、どのように進化していけるかを、引き続き、考えていきたいと思います。

12月の新たな動きを発表する際には、また、noteでお知らせさせていただきます。

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㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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