■読者からの手紙

いつもお世話になっております。

遅ればせながら「アトピー卒業ブック」を読ませて頂きました。息子はアトピーではありませんが、基本的な考え方など共通する点が多く、「治療すること」と「自分自身を生きること」を両立させることで、子ども自身が病気を乗り越えていけるかもしれない……と、この本は私の中で未来への明かりとなりました。

3年前、息子が3歳のときに白斑を発症し、以後2年間は東京の病院まで月1回通院しました。「難治性」と言われる皮膚の病気にかかり、わらをも掴む思いで「専門」と言われる先生に頼ったのです。

「紫外線は百害あって一利なし」と、戸外遊びは絶対禁止で、外で遊びたいという子どもの思いを伝えようものなら先生から罵倒されました。まさに先生に依存しなくてはいけない関係となってしまい、そこからどうやって自分なりの道を見つければよいのかと、途方に暮れたこともありました。

3年目にしてあることをきっかけに山鹿クリニックでも治療が出来ることを知りました。初めて岸本先生にお会いして、患者目線で温かく、今までの先生と雰囲気も治療の考え方も大きく違っていたので正直戸惑いました。今までは戸外遊びをしたと言ったら怒鳴られる程だったのですから。先生に診ていただいてからは、予防をしながら日中晴れていても戸外へ出るようにしました。また、小学校に就学して外に出ざるを得なくなりましたので、先生からアドバイスを頂いていて本当によかったと思います。初診の際、「子どもが外で遊べないなんてつらいでしょ?」と岸本先生に言われた時は涙が出そうになりました。

(中略)

本の中の「人の心の痛みがわかるすてきな人になることができる。アトピーになったおかげで、優しさや人を思いやる心を持つことが出来る。そして、アトピーに勝てる強さが君をずっと強くしてくれる。そう心から信じること……」という言葉を何度も何度も読み返しました。いつか息子が大きな壁に当たった時、伝えてあげたいと思います。

白斑はまだ一般的にはよく知られていない病気です。「白斑卒業ブック」なるものが出来ることを心から願っています。(後略)

 

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■先生からのお返事

頂戴したお手紙を……心苦しくなったり、温かい気持ちになったりと複雑な気持ちで読ませていただきました。「医療」というものの「本質」をご指摘いただき、改めて襟を正して診療していきたいと思った次第です。

「アトピー卒業ブック」の中で取り上げた通り、私は「医療=医学+人間学」だと考えています。「医学」とは、「知識」「技術」「経験」などを指しますが、これだけでは決して「診療」はうまくいきません。これらは必要(最低限の)条件であって、十分条件ではないためです。

私にとって「診療」とは、「患者さんの思いを背負うこと」です。それは必ずしも望む結果が得られることばかりではないけれど、「逃げないで」「諦めないで」患者さんと「向き合い続けること」、そして患者さんの「涙」が「笑顔」に変わるように精一杯努力することです。

そのために「人間学」を学び、身につける努力をすることで、学んだ「医学」(「知識」「技術」「経験」)が「死学」とはならず「実学」として生かされると信じ、これからも日々精進していきます。(岸本和裕)

㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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