【新刊】学校を開いたら、町が人が風向きが変わった!②
【官民一体教育の導入に際してのポイント】
官民一体教育を導入するにあたり、絶対に守らなければいけないのは、
地元の意見を汲みとることです。
民間が学校に入ることは、日本ではまだ異例のことなので、
ここに抵抗を覚える人は少なくありません。
武雄市の場合は、新しい取り組みに対して柔軟な考え方をもっていました。
それでも、花まる学習会が学校の授業に関与するとなったときには、
「武雄の小学校は花まる学習会に乗っ取られる」という声が上がりました。
今ではそういう声はすっかりなくなりましたが、
それは地元の意見にしっかりと耳を傾けたからだと思っています。
具体的な例でいくと、
武雄市は元々「子どもたちが自立できる大人に成長してほしい」と強く願っていました。
そしてここが学校側の悩みでもあったわけです。
どうすればそれが実現できるのかと。
つまり、官民一体教育によってこの目標に近づくことができるのであれば、
学校としては拒む理由がなくなります。
そこで、教育委員会や地域住民の方たちと相談をして、
自立できる大人になるためにはどのようなスキルが必要なのかを一緒に考えていったのです。
まずは、自主性を伸ばす教育が必要だということ。
大人になると自分で考え、決断して、動かなければならない。
そのときどきの状況に応じて、「的確な判断」ができなければ困ることは言うまでもありません。
自主性が備わっていなければ、
〝誰かに指示を出してもらわなければ動けない人〞になってしまうわけです。
だからこそ、小学校での生活・学習を通して、自らの課題に気づき、
改善策を導き出して取り組む習慣を身につけることが重要となります。
人間は本来、「知りたい」「学びたい」という意欲をもって生まれているという考え方があります。
実際、赤ちゃんは、「これは何だろう?」という知りたい欲求から、
物をなめたり、振ってみたり、叩いたり、落としたりします。
幼稚園くらいの女の子のおままごとにしても同じです。
彼女たちなりに大人の世界を真似して、少しでもその憧れに近づきたいのです。
それは、幼少期の子どもたちがもっている最高の素質だと思います。
でも、その意欲はいつしか削がれていき、
子どもたちにとって、「学ぶこと・考えること」はめんどうなことになり、
言われるから仕方なくやるものになってしまいます。
そんな〝やらされ感〞満載で勉強している子が多いのです。
大人はみんな知っています。
社会に出たら容易に答えの出ない問題や、
これまでにはなかった未知の課題に立ち向かわないといけないことがあると。
そうした課題を乗り越えて新しい価値を生み出していくことが、
「働く」ということの重要な点のひとつであり、
そのために徹底して「考える」という行為が必要なのです。
それを「めんどくさい」などと言っている場合ではないわけです。
子どもたちが本来もって生まれた「学びたい」「知りたい」という意欲を大切にし、
「学ぶ楽しさ」「考える面白さ」を子どもたちに実感させることが、
自主性を伸ばす上では欠かせないポイントなのです。
武雄市と花まる学習会とで話し合いを何度もおこない、
市の提唱する「自立できる大人」の実現に向けて何をすべきか、
その基盤を作り上げていきました。
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『学校を開いたら、町が人が風向きが変わった!』
前原匡樹(武雄市協働コーディネーター&人と学校をつなぐ町おこし先生)
1,400円+税 2019/8/31 発売
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