【新刊】学校を開いたら、町が人が風向きが変わった!⑦

仕掛け② 「他人と比べる」のではなく「自分の成長を意識させる」

 

「ぼくは計算苦手だから」が口癖の3年生がいました。
彼のお母さんと面談をしたときに、
「同じクラスのAくんやBくんは計算ができている。
うちの子も同じことを習っているはずなんだけど……」とお母さんが言いました。

このお母さんに悪気はなく、わが子に期待をかけているだけのことでしょう。

でも〝他人との比較〞が本人を苦しめてしまう可能性がある。
もし本人がこの言葉を聞いたら、
「AくんやBくんに比べて、ぼくはダメだ」と思うのではないでしょうか。

「計算」の時間。
子どもたちにはタイムを書いてもらったり、
自分で丸をつけてもらったりしています。
取り組みはじめて間もない頃には、
「やった〜、Cくんに勝った!」とか、「え、Dくん遅くない?」
と言ってしまう子もいます。
勝てたら嬉しいからその気持ちはわかる。
でも、他人と比較し続ける人生は決して幸せにはなれない。
上には上が必ずいる。
あるいは、他人がミスをしても勝ったら嬉しいということになる。
それはちょっと違います。

比べるのであれば、相手は他人ではなく〝過去の自分〞であるべきなのです。

「昨日よりも今日の自分はここまでできた。次はここを目指そう!」

そう考えるほうが伸びるし、ずっと幸せになれるはずです。

子どもたちは競争が大好きです。
競争になるとエンジン全開になって動き出すことがある。
その面を生かして子どもたちのやる気を引き出すことは効果的です。

でも、それをするのは勉強ではなく、
準備の速さや姿勢のよさなど、
頑張って運がよければ一番になるチャンスが
誰にでもあるものでおこなうのが子どもを伸ばすコツです。

短い時間の花まるタイムだけど、
楽しく集中して学びながらも、
自分自身に向き合う時間になってほしいと思っています。

 

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『学校を開いたら、町が人が風向きが変わった!』
前原匡樹(武雄市協働コーディネーター&人と学校をつなぐ町おこし先生)
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