【新刊】学校を開いたら、町が人が風向きが変わった!⑫
【課題を発見し、人を楽しませる視点も生み出す「問題づくり」】
武雄市をはじめ、花まる学習会が「思考力を育む授業」をおこなっている学校では、
「問題づくり」(=「こどモンタイム」と呼んでいます)を
課題のひとつとして子どもたちに挑戦してもらっています。
問題を作ることは、 問題を解く以上に難しい課題だとよく言われます。
「問題を作って!」と言うだけでは、子どもたちは「どうしたらいいの?」と悩んでしまう。
あるいは、自分勝手な問題を作ってしまって終わり……。
それでは何も学びにはつながっていきません。
・問題としてきちんと成立しているか(問題自体に誤りがないか)
・解く人が問題の意図を掴めるようになっているか(問題文が成立しているか)
・解いた人に、 「こう考えてこうなるから、答えはこうだ」と、
相手が納得するような解決へのプロセスを説明できるか(論理立てた解説ができるか)
こうした点に注意するわけですが、子どもたちには言葉を変えて伝えます。
「解く人が『面白い!』 『解いてみたい!』と思う問題を作ろう!」
「○○くんに解いてもらいたいとか、○年生に解いてほしいとか、△先生に解いてほしいみたいに、
誰に解いてもらうかを具体的にイメージすると作りやすいよ」
「作る問題は、自分が好きなものでもいいし、
今日やった中で面白いと思ったものを真似して作ってもいいよ」
「たまに答えがない問題を作ってくる子がいるんだけど、それってどうかな?」
(こう訊くとだいたい「面白くない!」と答えます)
そして最後に、「面白い問題だと思ったら、次の授業で出すかもしれないよ!」とつけ加えます。
自分の作った問題が次のプリントで出るかもしれないと思っただけで、
多くの子どもがワクワクし、意欲をもって問題を作り始めます。
なかには授業後の休み時間や昼休み、家で問題を作ってきたものを職員室に届けてくれる子もいます。
……
一生懸命に作ったパズルがプリントに掲載されたCちゃん。
喜んだのも束の間、ある男の子に、「あれ、意外とすんなりできた!」と言われてしまった。
これにまわりの子も反応して、「え、そうなの?」と、Cちゃんの問題をみんなが解きだします。
「本当だ、意外と簡単にできた!」
そんな声がちらほらと聞こえると、Cちゃんは悔しかったのでしょう、涙をポロポロとこぼしました。
「簡単って言われて悔しかった?」
「うん」とうなずくCちゃん。
「どうしたい?」と訊くと、「もっと難しいのを作りたい」と。
私にできることは、「よし頑張れ!」とプリント用紙を渡すだけです。
Cちゃんが次に問題を作ってきたときに、「どこを工夫したの?」と訊くと、
「数字の位置を前よりも工夫した」、「パズル全体の形も変えた」と、
前よりも頭を使ったことがよくわかりました。
解いている人に「簡単だ」と言わせないために努力をしたのです。
この「人を楽しませたい!」という意欲こそが、
社会に出たときに「どうすれば世の中の役に立つようなものにできるか」を考える力につながります。
それは働くことの本質であり、作問はそんな力の原点になるものです。
未来を生きる子どもたちに必要とされるのが、課題を設定する力であることは間違いないでしょう。
問題づくりは、ただ自分が好きなもの、「これって絶対面白い!」
と思っているものを作ればうまくいくかというと、そんなに単純ではありません。
受け取り手がそれを面白いと思ってくれるか、
「これ、 悩んだけど楽しかった!」と思ってもらえるか、それが大事なのです。
簡単な言葉でまとめると、「イメージ力」 。
この力を養っていくためには、他人のリアクションから何かをどれだけ敏感に感じ取れるか、
それをどれだけ夢中になって繰り返せるかではないかと思っています。
================================
『学校を開いたら、町が人が風向きが変わった!』
前原匡樹(武雄市協働コーディネーター&人と学校をつなぐ町おこし先生)
♪詳細はこちら♪
================================
㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。 |
|
(株)エッセンシャル出版社 〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町7番10号 ウインド小伝馬町Ⅱビル6階 TEL:03-3527-3735 FAX:03-3527-3736 公式 : https://www.essential-p.com |