平成までの「作法」(やりかた、HOW TO)の時代から、
「和法」(あり方、BEING)の時代へ。
人に伝わるものは、DOING/HOW TO(どうやるか)という方法論ではなく、BEING(どうあるか)という存在論に基づいたものである。
自己実現から自己統合へ。
何か別の自分になっていこうとするクリエイティブスタイルから、あるがままへと自分に戻っていくビーイングクリエイティブへ。
身につけていくという発想から、手放し、思い出していくというありのままの姿勢へ。
令和だからこその「和法の時代」。
和法のクリエイター・サトー克也さん。
広告の仕事を通して気づいた人間の本質「ワクワクするほうに進め!」クリエイティブディレクター サトー克也さんインタビューvol1▷コチラ
『ジブンLOVE』が人生を動かすのだ。
『好きになる』ことで、最高に和することができる。好きになれないならば、『感謝する』ことで、相手と和することができる。
自分を好きな奴は、全てを好転させる。奴らは、周りのものを全肯定できるのだ。
みんな!自分大好きになれ!
みんな!自信満々になれ!
自信が運命を動かすのだ。相手と和するには、お客様と和するには、世界と和するには、まず、己を愛すことだ
『ジブンLOVE』が人生を動かすのだ。
それを『法人格』であてはめると、自分の会社を好きになることが、経営者から見れば、自分の会社を好きにさせることが、会社を向上させる根源的エネルギーとなる。
中小企業も大企業も全て、そうなんだ。企業広告は、むしろターゲットは世間ではなく、社員であり、社員の『自社LOVE』を醸成することが、その目的でもあるのだ。社長の訓示も、法人目標も、そこを目指すことが大事なのだ。ヒントは日本の知恵だった。
『和を以て貴しと成す。』
そう、スティーブ・ジョブズも禅を学んでいた。また、『和法』とは、在り方なので、特定のジャンルに限るものではなく、全てのジャンルにおける根底を成すものである。言うなれば氷山の見えている部分だけではなく見えていない海の下、土台部分である。
【サトー克也】
クリエイティブ ディレクター。
心に響くインパクトのある広告表現で、数々のCM話題作を世に送り込む、CM界のトップクリエーター。
主な演出作品に、日立マクセル「ずっと、ずっと。」、コスモ石油「ココロも満タンに宣言」、東京メトロ「すすメトロ!」、大塚食品「クリスタルガイザー」、読売新聞「編集手帳」、大阪ガス「さすガっス!」「ガ、 スマート!」他多数。カンヌ国際広告祭銀賞、ギャラクシー賞、ACC賞他受賞多数。
三井のリハウス、テプコひかりなど、常に人間の本質を突き、見る者の感情を刺激するテレビCMは、「広告がいかに人の生活に一輪の花を咲かせられるか」という独自の哲学で生み出されている。
日立マクセルDVDのキャンペーンでは、昨年のカンヌ国際広告祭でシルバーライオンを獲得。
今年は1度だけオンエアされたテレビCMが、ACCグランプリをはじめ、数々の広告賞を受賞した。
廃校になる小学校の最後の卒業式までの7日間を、徹底的にリアルを追求して撮影した計8分間の映像は、ユーチューブでも話題になり、多くの人の涙を誘った。
「ずっと残しておきたかったものが目の前で終幕を迎えるわけですから、たぶん切ないドキュメンタリーが撮れるとは思っていました。いつか大事なものがなくなってしまうからこそ、今を大切に生きることの尊さに、無意識にでも気づいてもらえればうれしいですね」
いつも心の奥には両親への感謝の思いが、強くある。
家族をテーマにした企画が多いのも、リアルな自分をそこに投影できるからだ。
読売新聞の夕刊キャンペーンでは、オリジナルキャラクター「だっち君家族」のドタバタ劇を描くことで、読者にも平和な家庭をベースに、楽しく生きて欲しいとの祈りを込めている。
「企画の中に必ず自分がいることが大切なんだと思います。リアルな経験や感動を表現したときに、その広告は説得力のあるものになると思うんですね」
95年、『地球村宣言』を著した高木善之氏や、船井幸雄氏の講演を聞いて、このまま経済至上主義が進むと地球がダメになることに気づいた。
地球市民としての意識が芽生えると同時に、企業の「売らんかな」の欲望に応えるだけの広告づくりにも疑問を感じ始めたという。
「その企業や商品が人をどれだけ幸せにできたかが、ブランドの信頼感になって積み重なっていく。世の中に存在するものには、必ず人を幸せにする愛情が隠れているはずで、それを抽出して表現してあげるのが僕の役目だと思っています」