5万組以上の親子を見てきた花まる学習会 代表 高濱正伸さんとラグビー界で「コーチのコーチ」として活躍する中竹竜二さん。「人を育てる」プロのお2人が、書籍で初のコラボを実現!その「人育て=子育て論」とは?
■中竹竜二さんの考え方スポーツに学ぶヒューマンスキル
ビジネスリーダーを育成するときに、「なぜスポーツを使うのですか?」とよく聞かれます。それは、私がスポーツのコーチ出身だからという理由だけではありません。
スポーツには勝ち負けがあります。試合があって期限も決まっている。したがって、目標を立てて準備をして行動する、終わったら振り返るということが、すごくシンプルにできます。
もちろん、ビジネスでもPDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)が重要だというのは常識です。でも、比較的長いスパンでそれを行うことが多いはず。 10分程度の打ち合わせなどでは、正直ほとんど意識されていないのではないでしょうか。
「今日の打ち合わせで決めるんだっけ?」
「時間だからまた改めてやろうか」
これではもったいない。
じつは、スポーツ界にはこのノウハウがたくさんあります。「 10分ドリブル」とか「5分パス」といった練習があって、この5分でパスをうまくしたいのか、キックをうまくしたいのか、コーチはそれを考えて行います。同じパス練習でも、キャッチをうまくしたいのか、スローをうまくしたいのか、そのゴールが違えば練習内容も異なるのです。
話を戻すと、私がスポーツを使うのは、「ヒューマンスキル」だけを見られるからです。スポーツというのは、人間の動作がメインであり、道具がいくらよくても人間が強くならないと勝てません。ビジネスの場合には、プロダクトやサービス、市場がよければ、正直どうしようもない社長と社員でも利益を上げられることが絶対にないとは言えないでしょう。スポーツはそういう意味で、ちょっと特殊な分野だとも思っています。
スポーツから学べるエッセンスとしては、シンプルに自分たちの時間を区切ってゴールを決められるということ。コーチングも同じで、ゴールを決めて実際にやってみることができる。一番大事なのは「振り返り」です。メンバーと一緒に振り返ること。
「今日のゴールはこれでしたが、何か得られましたか?」
「 30 分終わりましたが、今日のコーチはどうでしたか?」
たとえば最初に、今日みなさんは1時間の中で何を得たいかと聞きます。それが私のゴールです。そこで、みなさんにその何かを持ち帰ってもらうというゴールに向けてすべてを組み立てます。
コーチングも同じです。問いかけは「手段」ですので、ゴールに向かってどの問いかけをすればいいか、ということを綿密に組み立てていきます。これには質問力や傾聴力がないと完璧にはできません。とりあえず、一方的に思いをしゃべり続けるよりは、問うこと、聞くことをたくさんやったほうがうまくいきます。
■高濱正伸さんから親へ!ここを考えて!ラグビーの指導の中に、子どもが社会で活き活きと生きていくためのヒントが学べます。
ラグビーというスポーツを通して、魅力的な大人が持っている「あり方」が学べるということがわかりました。
中竹さんは、指導者の指導法にも精通している、スポーツを通してつけられる多様な力にも詳しい。それはそのまま、「親子関係」に還元できるものだと思いました。 親が教えられそうで教えにくい、子どもが社会で仲間と活き 活きと生きていくときに必要な力の育て方が、ラグビーの指導の中には溢れているのだとわかりました。
―『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』より抜粋・編集 ※対談で高濱正伸先生が登場します!
◆『オフ・ザ・フィールドの子育て』の紹介◆
本書では、「多様性」というキーワードに着目し、それを独自に育んできたラグビーに学ぶことで、子どもたちに多様性を身につけてもらえる、子育てをよりよくできるのではないかと考えました。教えてくれるのは、「コーチのコーチ」をしてきた“教え方のプロ”である中竹竜二氏。
さらに、花まる学習会を主宰する高濱正伸先生から、著者の考えに対して、「子育て」や「学び」の観点から、適宜コメントを入れていただきました。
また、巻末にはお二人の対談を掲載し、ラグビーに学ぶことの意義についてご紹介しています。
改めて「ワンチーム」という言葉の意味や、ラグビーが大事にしてきた「オフ・ザ・フィールド」という考え方を知ることで、わが子の個性をどのように活かしたらよいかを考えるきっかけとし、わが子が実際に輝ける場所を親子で一緒に見つけてほしいと思います。
“サンドウィッチマン推薦! ”
ラグビーがなかったら、いまの俺たちはいなかったと思う。「中竹さん、ラグビーから学んだことは、今に活きています! 」
9月15日(火)中竹 竜二氏 × 高濱 正伸「子どもを伸ばす親の6ヶ条」【Zoomライブ配信】
―中竹竜二( Nakatake Ryuji )
株式会社チームボックス代表取締役
日本ラグビーフットボール協会理事
1973年福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年、日本ラグビーフットボール協会「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。2014年、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックス設立。2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。
ほかに、一般社団法人日本ウィルチェアーラグビー連盟 副理事長 など。
著書に『新版リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』(CCCメディアハウス)など多数。
2020年、初の育児書『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』を執筆。
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