複業必須の時代到来!? いまこそ、専業からの脱却を。

副業のはじまり

第二次世界大戦後、新しい歩みを始めた日本社会。終身雇用制が一般的となった高度経済成長期になると、「副業」を禁止する企業が増えていきました。

本業に専念し、よりよい結果を出すことが期待され、また機密が社外に漏れることが懸念されたからでもありました。ひとつの会社で人生の大半を過ごす個人は、限られた世界での成長を余儀なくされていきます。

時代は下って2016年。

ロート製薬の副業解禁、翌年にはソフトバンクも解禁と、老舗や大手の副業解禁が話題になります。

2018年には、厚生労働省労働基準局監督課が、モデル就業規則を「労働者は、勤務時間外に置いて、他の会社等の業務に従事することができる」と改変。ようやく「複業元年」に。

これに先駆けて「副業」を認めた「サイボウズ」は、新しい時代の働き方を開拓してきた企業のひとつとして知られます。2012年、副業を解禁して以降、「100人100通りの働き方を」を謳い実践しています。

2020年7月2日放送「カンブリア宮殿」にも登場!

「100人100通りの働き方を」サイボウズの挑戦

元々は、残業・土日出勤は当たり前、副業禁止、昼休みにラジオ体操…といった旧体然とした就業形態でした。それが、社員ひとりひとりが「私はこういうふうに働きたい」と、自分だけの「働き方」のパターンを作り、社内で共有。

その人に合った働き方が実践できるという、大改革を推進してきました。

社長の青野慶久さんが、「イクメン」となったこともこの改革を推進する大きな原動力にもなりました。

その改革のひとつが「複業解禁」です。

ところで、サイボウズの副業は「副業」ではなく、「複業」です。

「副業」は、収入のために行うもので、本業に対してあくまで従(副)の位置にありますが、「複業」は収入のためだけでなく、「自己実現を目指す」ために行い、本業をいくつも持つことを言います。

複(副)業ってなんだろう?特集▷コチラ

複業の草分け・中村龍太さん

サイボウズが複業を解禁した翌年、同社に入社した中村龍太さんは、当時まだ珍らしかった「複業」を、サイボウズとダンクソフトへ同時転職という形で実現した、その先駆けです。

元々の動機は、「子どもの教育費が必要だったから」。

収入を目的に始めたものの、それぞれの仕事が関連して、自分のスキルやあり方に相乗効果をもたらしていることに次第に気づき始め、周囲の要望に応える形で、その実態を伝える「複業のエバンジェリスト」として活躍するようになります。

2016年には、総理官邸での「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で「複業」についての意見を述べています。

中村龍太さんの複業は、この2社での仕事のほかに
・奥さんの実家での農業
・趣味で始めたドローンで撮影の仕事
・好きなパエリア料理の作り方を教える仕事
と多岐に渡っていきます。

誰にでもできる「龍太流複業」

龍太さんの「複業」は、お金の為だけでなく、「スキル」も「つながり」も得るためのものです。

そして、「安心感」「貢献感」「幸福感」をもたらします。

ひとつの仕事から全てを得る必要がなく、複数の活動を人生に組み込んでいく形でそれを実現する。

これらは「龍太さんだからできるのでしょう」という声は、その話を聞くと「自分にもできる」というものに変わっていきます。

龍太流の複業は、
・金融資産(お金)…自由に利用できる、現金、貯金、不動産などの財産
・人的資本(スキル)…労働者が有する生産に有用な、労働、知識、技能などの能力
・社会資本(つながり)…人と人との信頼関係(友人、知人、人脈など)

これらを元手に資本・資産を再生産していくことです。

一例として)複業NGの企業で複業を実践したある女性の話
新規事業の部署に異動となったある女性は、本社にいながら関連会社に出入りできたため、そこで人的資本(スキル)を構築。新規事業を運営する関連会社の設立から運用までを経験します。関連会社では、コラボレーションした大学の先生からの提案で、論文執筆を決め、自腹で大学院にも進学。ここで社会資本(つながり)を構築します。金融資産は、大学院などの「投資」に使用していたため、「ほとんどない」状態ではあったものの、結婚後転職した会社では、大学院や前職で得た「人的資本」から得られる「信頼」という「社会資本」は新しい会社の活動で活かすことができています。そして、その中で、「金融資産」も育まれ始めています。

新しい自分を創出するために。

これまでの自分を見つめなおしながら「複業」という選択肢はいかがでしょうか?

中村龍太さんは、2020年に初の著作『多様な自分を生きる働き方 ー誰にでもできる複業のカタチー』を刊行し、「龍太流複業」についてまとめています。

「会社が副業禁止でも大丈夫!」。

複業の理解から、自分だけのポートフォリオの組み方まで紹介する「実践の書」です。

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中村龍太(Ryuta Nakamura)

中村龍太さん_250

1964年広島県生まれ。

日本大学卒業後、1986年に日本電気入社。

1997年マイクロソフトに転職し、Office365などいくつもの新規事業の立ち上げに従事。

2013年、サイボウズとダンクソフトに同時に転職、複業を開始。

さらに、2015年にはNKアグリの提携社員として就農。

現在は、サイボウズ、NKアグリ、コラボワークスのポートフォリオワーカー。

2016年「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で副業の実態を説明した複業のエバンジェリストとして活躍中。

中村龍太さんプロフィール(サイボウズHP)▷コチラ

お金、スキル、人との繋がりを増やすニューノーマルな働き方

▽一人1つの会社だと誰が決めた!マルチワークから考える自分らしい生き方

㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

(株)エッセンシャル出版社
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