親は「受け入れて」。社会は「受け入れてくれない」?

診断時によくいわれるのが、「受け入れてください」という言葉です。この「受け入れる」というのは漠然としていて、受け取る人によってとらえ方がずいぶん変わっています。親だけでなく、支援者や関係者にも勘違いしている人が多いように感じます。

発達障害の診断は幼いうちが得!

発達障害についての理解や支援はまだ十分には広がっていません。どう対応したらいいのかわからないことも多々あります。それなのに、「障害なのだから仕方がない」と考えたり、「可哀想だから」と何でも許して子どものいいなりになって振りまわされる。あるいは何かうまくできたら過大評価して、おだてて特別扱いする……そういうことが、「受け入れる」ことだと思っている人が多いように思うのです。

発達障害はその子の状態です。子どもによって認知特性には「偏り」があります。保護者に対する「受け入れて」という言葉は、「普通の教え方では理解が難しい子どもだから、理解をさせるのに時間がかかるし、工夫も必要だから養育するのに手間もかかる。ということを受け入れてください」という意味です。

たとえるなら、既製品では合わない場合のオーダーメイドということです。時間もお金も手間もかかることを理解して育てましょう、ということです。それであれば、結構シンプルに考えることができるのではないでしょうか。

ところが、「受け入れる」の意味を取り違えると、「受け入れられない」となったときに、わが子と心中を図ってしまう人が出てきます。

「受け入れられない=社会から受け入れられることをあきらめなくてはならない」と解釈してしまうのです。

実際問題として「社会からの評価が低いため、社会から受け入れられない子」という現実を苦もなく受け入れられる親がどれほどいるでしょう

私はあまりいないと思いますし、それが普通だと思います。「受け入れて」という言葉は、本来、保護者にではなく社会に向けて発信されるべきものだと思っています

―『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』ルール9「受け入れる」のは現実的な対応 より

◆本書の紹介◆

発達障害の女の子の保護者や支援者が気をつけるべき点や、知っておくべき情報などを全6章、「47のルール」としてわかりやすくまとめたのが本書です。

1章 診断や医療機関の上手な使い方について

2章 親としての心構え、親のとるべき行動

3章 日常生活での支援と療育について

4章 健やかな生活を送るための学校選び

5章 女の子に必要な「学び」-思春期と性教育

6章 療育支援Q&A

「何度注意してもやめてくれません?」

「プライドが高くて注意するとパニックになります」

「新しい場所や新しいことが苦手です」など。

豊富な経験や、専門家からのアドバイスをもとに著者が作りあげてきた「発達障害の女の子たちが幸せに生きていくためのノウハウ」です。

ぜひご活用ください。

―藤原美保(Fujiwara Miho)

藤原さん250

健康運動指導士、介護福祉士。株式会社スプレンドーレ代表。エアロビクス、ピラティス、ヨガインストラクター等フィットネスのインストラクターとしてスポーツクラブ、スポーツセンターでクラスを担当。発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目のあたりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げる。

100組以上の発達障害の女の子とその保護者をサポートしてきた経験を踏まえ、実践の場からの声を届けるために、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』を執筆。

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㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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