「今、自分には羅針盤が必要だ!」と思う人へ。ちょっと“ため”になりそうな、ふたりの話。
<話をするふたり>
大久保寛司(おおくぼ・かんじ)……ビジネスセミナーなのに涙する人が続出、10万人以上の行動を変容させてきた伝説のメンター
西任暁子(にしと・あきこ)……著名人5000人から本音を引き出すインタビューを経験したスピーチコンサルタントにして歌手で著述家
◆幸せのために必要なこと
西任:わたし、大学生のときから15年くらいラジオのDJをやってたんですけど、自分がいるメディアという枠組みの中で、若かったし無意識になんですけど、「こういうことは言っちゃいけない」という、暗黙のルールみたいなものに結構縛られていたのかもしれないなと思っていて。
大久保:ルールとか規制とか世の常識とかいうものが、この歳になるとほとんどなくなりつつあるね。「人はこう生きなければいけない」みたいなものを、団塊の世代というのは結構色濃く持っているわけですよ。長男はこうであれとか、嫁はこうであれとか。でも今思うのは……「何でもいいじゃない」っていうね(笑)。
西任:ハハハハハ(笑)。
大久保:昔からの「成功の方程式」みたいなものが、今はなくなっているからね。いまだにその辺の意識が変わっていないのがお母さんだと思うんだけど、たとえば、子どもをいい学校に入れて、いい会社に行かすんだと。じゃあ、いい会社に行った人を見てご覧なさいって。ハッピーになってますか? なってないわけですよ。
西任:はい、そうですね。
大久保:勉強をするのはいいことですよ。もちろん、親としては子どもの幸せを願ってのことなんだけど、いい偏差値の学校に入って、いい会社に行っても、今はその先の幸せが約束されてはいないんですよ。私が今いちばん大事だと思うのは、「生きる力」とか「人を思いやる力」で、こういう力のある子どものほうが、最終的には将来幸せになれると思うんです。
西任:それって結局、みんなが「幸せ」というものを勘違いしたまま生きてきてしまったからだと思うんです。お金があればとか、いい会社に行けばとか、そういう幸せ感って、前の世代から無意識に受け継いだもので、それを再考したり、疑ってみたりしたことがなかったんじゃないかなって。
大久保:戦後のモノがない時代があって、まずはモノだと。そのためには収入を得る必要があると。そういう段階があったんですよ。開発途上国なんかは今もそうだけど、「大切なのは精神」なんて言われても、「いや、それよりテレビが欲しい」「スマホが欲しい」ってなるわけ。かつてはそういうステージがあったわけだけど、日本は豊かになってステージが変わったんです。でも、精神的なステージは当時のままなんだよね。いまだに拡大志向の人というのは、意識がそこにとどまったままなんですよ。
西任:そういう人は、どうしたらそうした気づきを得られるんでしょうか?
大久保:その答えはすごく簡単です。「わかんない」です(笑)。
西任:(爆笑)
大久保:そんなのわかるわけないでしょ。私は何百人の講演会でも質疑応答が大好きなんだけど、「どんな質問にもお答えしますよ。それ? わかりません。はい次の方!」って(笑)。
西任:すぐに次へ行っちゃうんだ(笑)。
大久保:昔よくあったのが、「円高はどこまで行くんですか?」って。専門家にもわからないのに、わかるわけないじゃない。あんなの全部推測でしかないんだから。それなのに、誤解なんだろうね、訊いてくる人がいるんですよ。だからもう即答です。「私にわかると思います?」(笑)するとね、訊いた人も何だかホッとした顔をするんです。
西任:あ、そうなんですか。
大久保:うん。逆にそこで言い切れちゃう人って嘘つきだと思う。もしその通りになったとしても、たまたま当たっただけの話だと思うし。「こうなる可能性はあります。それはこれこれこういう理由で」って言うのならわかるんだけどね。もっとも、メッセージを伝えるときって言い切らないとメッセージとしては弱いから、方便としてはあるんだけど。でも、そのあたりのことを詳細に考え出すと、人間は黙っているしかなくなっちゃうからね。
西任:そうなりますよね。
大久保:結構いろんな人から人生相談を受けるんだけど、「こうしたらいいですよ」と言い切っていたのが50代前半。たぶん間違った話はしていないから、その通りに幸せになっていくんだけど、あるときに、「それで本当にいいのかな?」って気づいたんです。人は行き詰って初めて学べることがあって、その学びが十年後に花咲く土台を作っているかもしれない。そうなると、落ち込まないで済む道を教えてしまった私は、果たして本当に正しかったのかなと思うんですよ。
西任:学びの機会を奪ってしまったと。
大久保:そういうこと。その感覚に気づいたのが50代半ばを過ぎた頃でしたね。もう何がいいかわからなくなってしまった。「どうしたらいいでしょう?」と訊かれても、「大変ですね」しか言えなくなっちゃった(笑)。でも、ここ3~4年のことなんだけど、「大変だなあ」と独り言みたいにボソッと言うだけなのに、なぜか相手が爽やかな顔をして帰っていくんだよね。
この間も、ある著名な人なんだけど、「これこれこうでこうなっちゃったんだけど、どうしたらいいでしょうか?」って私に訊くわけ。「いやぁ、大変だなぁ」って考え込んでたら、「いや、すっきりしました!」って帰っていくのよ。こっちは何もしていないのに、相手が勝手にわかったんだろうね。これはもうコーチングですらないと思うんだけど。
西任:うんうん。
大久保:コーチングは勉強をしたことがないのでよくわからないんだけど、よく言われることにひとつに、「解答は相手の中にあります」という言葉。何を言ってんの、知らないことだってあるでしょうって、私はそう思ってるの。
西任:ハハハハハ(笑)。
大久保:解答を持ってるケースもあるけど、持ってないケースもあるわけ。相手に気づかせて、本来持っているものを引き出せばいいっていうケースもあるけど、どうしたらいいのか本当にわからないケースだってあるでしょ。それなのに言い切ってしまうというのは、私には正しいとは思えないわけです。
西任:年々言い切ることができなくなっていくんですかね。この本の最後に書いてある、「年々わからないということがわかってくる」ということなんでしょうか。
大久保:うん。わからないから何も言えなくなってきた。でも、「わかんないなあ」と思って悩んでると、相手が勝手によくなっていくんだよ。
西任:それって何なんでしょうね。わかんないけど(笑)。
大久保:それはわかんないよね(笑)。私はその変わった姿をじっと見て学んでいるんです。何であれで変われるのだろう、私は何も言っていないのにって。
西任:寛司さんは、そのとき本当に考えていらっしゃるんですか?
大久保:考えてる。考えているんだけど、いろんな選択肢が出てくるから、どれがベストだって言い切れないわけ。言っちゃっていいのかなとも思うし。だから、最近の得意な言葉は「わかりません」だね(笑)。
西任:ハハハハハ(笑)。
大久保:この間、大阪で活動されている人が本を出して、出版記念お祝い会をしたのに私も参加したんだけど、そのときに私の隣に30過ぎのタレントみたいなカッコいい男性が座ったわけ。どうやら私の横に座らせたいと思っていたみたいなんだけど、その彼と2時間くらい、たわいもない話をしたんですね。そうしたら翌日に彼からメールがきて、横にいるだけで自分が変われたと言うんですよ。どういうことかと言うと、自分の立てた目標に向かって自分を成長させていくと行き詰ることがあって、そういうときには自分を責めていたんだって。だから常に苦しかったんだけど、それを手放すことができたんだと言うわけ。「あなたのおかげです」って……わかる?(笑)
西任:そういう話を寛司さんは全然されていないんですよね。
大久保:うん。それで後日また会ったんだけど、彼はお父さんと長年確執があって、関係性があまりよくなかったそうなんだけど、実家に帰る機会があったときに、素直に詫びることができたと。そうしたら、お父さんのほうも前向きな返答をしてくれて、両親と和解ができた。これもあなたのおかげですって……わかる?(笑)
西任:あ、でもそれ、わたしちょっとわかります。寛司さんはたわいもない話をされていたと思うんですけど、たとえばいろんな質問をされて、「わかんない」って答える寛司さんの姿を見て、「あ、わからなくっていいんだ」と、自分が許可を得たような気分になったりするんだと思うんです。
これは別の話なんですけど、まわりのみんなが「彼には無理だよ」って言っているときに、寛司さんはちょっと遠くを見るような感じで、「そうだなあ、彼にはちょっと道のりが長いかもしれないなあ~」って言ってるのを見て、私は横でものすごく感動してたんですよ。
大久保:うんうん。
西任:寛司さんにとっては何気ないひとことだったと思うんですけど、「あ、人の可能性をまわりの人間ができるとかできないとか、決めることなんてできないんだ」ってそのときに思ったんです。まさに、寛司さんの「あり方」が、教えようとしないからこそ、そこから教えられることがあると思うんですね。今日だって、こうして寛司さんの隣で話を聞いていて、私には「学び」がバンバンきてますよ!
大久保:あ、そうなんだ……それがわかんないのよ(笑)。
西任:(爆笑)
大久保:それでね、もし学んでるんだとしたら、それは学ぶ側の力なんだよ。だって、「あなたの話なんて二度と聞きたくありません」っていう人も、まったくいないわけじゃないから。「もう結構です」と。でもね、幸いにしてそういう人がたまーにいるわけ。そうすると、私の話を聞いて感動しました、人生が変わりましたっていう人は、その人自身がすばらしいからなんだって、本当に腹の底から思えるわけ。
西任:うん、その方がいてくれたおかげでわかる。
大久保:そうそう。千人が千人変わったら、それはこっちの力だと思うかもしれないけど、微動だにしないというか、逆のほうに変わろうとする人だって例外的にいるわけですよ。だから、「聞いて感動する人が偉いんだ」というのが私の持論です。そこに力みがない代わりに、「おかげで救われました」と言われてすごい喜びが浮かんでくるかというと、「ああ、そうですか、よかったですね」くらいの軽い気持ちにしかなれないんだけどね。「いや、それはあなた自身の成果ですから」って。
西任:寛司さんには、自分が何かやったっていう感覚がないからですよね。
大久保:うん、そうなんだろうね。
◆人前で緊張しない方法
西任:最近読んだ本の中に、「どうしたらできますか?と訊くのは、それを聞いたら自分にはできるという、思い上がった気持ちがあるからだ」って書いてあって、「ほぉーっ!」と思いました。
大久保:うん、なるほど。「どうやったらなれるんですか?」「どうやったらできるんですか?」と、よく私は質問を受けるんだけど、「それを聞いたら、あなたはやりますか?」と言うこともあれば、「わかりません」と答えることもある。例外的に「こうしてみたらどうですか?」と言うこともあるんだけど、質問をくれた相手によって、私の場合は答えが千変万化するんですよ。
この前、実際にあった話なんだけど、初対面の20人くらいを前に、「今日はどうでしたか? ひとこと感想をどうぞ」って言ったら、立ち上がっただけでものすごく緊張して、肩に力が入っている人がいたんです。
「人前で話をするのが得意じゃないんですか?」
「はい、そうです」
「肩に力が入っていますか?」
「は、はい、力んでます」
「そう。それじゃ……もうちょっと肩に力を入れてみてください」
そうすると、こうやって力を入れてるんだけど、そこで「もうちょっと入らないですかね?」って言ったんです(笑)。
西任:ハハハハハ(笑)。
大久:それで、その人はもっと力を入れようとするんだけど、それ以上は入らなくて、スッと肩の力が抜けたわけ。そこで、「はい、どうぞ話してください」って。それからはその人、会社でMCまでできるようになったって。「あれ以降、人前であがらなくなりました」って。
西任:すごーい!(拍手)
大久保:たったこれだけのことなんだけど、これが万人に通用するわけじゃないんだよね。たまたまその人には通じたというだけのことで。いちばんよく話すのは、「緊張で足が震えてる? じゃあ震えたまま話したらいいよ」と。震えを止めようと思うから余計に震えるんだからね。
よく、たくさんの人の前でしゃべるときに緊張しない方法として、「人を芋だと思え」って言う人がいるじゃない? そんなの思えるわけがないよね(笑)。
西任:そうですね(笑)。
大久保:ただ言えるのはね、「人はあなたが思うほど、あなたの話なんて聞いてないよ」ってこと。結婚式のスピーチなんて、誰も覚えてないでしょ? そんなものですよ。簡単に言うとね、人は他人の話は聞かないけど話がしたいの。そこをわかっていたら、緊張しなくても済むんですよ。
西任:ハハハハハ(笑)。なるほど。
◆「初心」という言葉の意味
大久保:あなたは話のプロだよね?
西任:プロ……でしたね。最近ある人に言われたのは、お金を出して料理を食べるとき、美味しいのは当たり前で、それに加えて楽しい食事ができるとか、何かを求めて食べに行くわけでしょうと。あなたは話のプロとしてやってきたのだから、話が上手なのは当たり前で、その話を通じて何ができるかということを大切にしたほうがいいんじゃないかって。その通りだな~と思いました。
大久保:でも、当たり前が当たり前にできるってことが当たり前じゃないからね。
西任:でも得意にはなりましたね。もちろん、最初はそうじゃありませんでしたけど。
大久保:今もカッコいいんだけど、昔はもっとカッコよかったじゃない。
西任 :「カッコつけてたじゃん」でいいですよ!(笑)
大久保:ラジオから流れてくる声を聴いて憧れたファンがいっぱいいたでしょ? ファンレターとかいっぱいもらったんじゃない?
西任:幼稚園の男の子からもらったことがありましたね(笑)。印象的だったのは、日本にきたばかりの海外の人からお手紙をいただいたこと。ラジオって、テレビと違って自分に話しかけてくれるように感じるメディアなんです。実際、大勢に向けてじゃなくて、ひとりのリスナーに話しかけるイメージでやりなさいってアドバイスされたことがあるんですけど、日本にきたばかりでまだ友だちがひとりもいない海外の人が、友だちがそばにいてくれるみたいな感覚になれましたっていう手紙をくださって、そういうふうに聴いてくださる人もいるんだなあって、ありがたく思いました。
大久保:あなたのユーチューブの動画を見て、表情が変わりましたねっていう人も多いんじゃない?
西任:そうですね、ありがたいことに。
大久保:みなさん、この人は脱皮されたんですよ!(笑)
西任:ハハハハハ(笑)。
大久保:そうするとね、またこういう質問が出るんです。「どうやったら脱皮できるんですか?」って(笑)。講演会での質疑応答でも、「どうやったら?」って訊く人が多いね。
西任:今思い浮かんだ答えは、「脱皮したいと思っていたから」。
大久保:脱皮する前に蛹にならないとね。幼虫のまま脱皮したらアウトだよ(笑)。
西任:本当に脱皮したかったんですよね、強烈に。「すごく望む」というのは、入り口としてありなのかなって。
大久保:脱皮したあとの姿は想像できたんですか?
西任:まったくできませんでした。何が起こるのかも。でも、もう限界だなと思っていたので……。
大久保:蛇なんかもそうだけど、たとえばヤドカリなんかは、より大きな貝殻に移動していくじゃない。そういう意味で、脱皮と成長はイコールなのかもしれないね。ということは、脱皮しないと成長しないってことか。
西任:脱皮ってほら、今の自分を脱ぎ捨てるみたいなところがあって、それって結構勇気が要ることじゃないですか。今の自分に執着があるから。
大久保:それね、世阿弥が言っているんですよ。「初心忘るべからず」って。
西任:えっ?
大久保:初心の「初」というのは、ころもへんだから「布と刀」でしょ? つまり、布を切るということなんです。その布というのは、過去の蓄積、経験のことなんです。
西任:はぁ……。
大久保:要するに解釈がまったく違っていて、それが本来の意味なんですよ。「老後の初心」っていう言葉は、若い頃の気持ちを忘れないっていう意味じゃなくて、過去の蓄積を捨てなさいっていうことなんです。
西任:そういう意味だったんですか!
大久保:これは、安田登さんの「能」という本に書いてありました。この人のワークショップに行ったことがあるんだけど、「こんなにすごい人がいたのか!?」って驚きました。この人の存在は、70歳になって初めて知ったんです。ある人から、「絶対に大久保さんと気が合うから」って言われたんだけど、ちょっとレベルが違うなっていう……。
それで、能の人っていうのは、何の健康法もやってないんだけど、80歳90歳で大酒飲みで煙草バンバン吸っていても健康な人が多いんだって。それは能の呼吸法だからなんだって。あとは摺(す)り足。それがすごく大事だと。
西任:へぇ~。
大久保:最新の身体医学から、能の動きがいかに健康にいいかということがわかってきたそうです。
西任:日本古来の体の使い方ですよね。
大久保:そう。内側の筋肉が鍛えられるからすごく自然でいいんだって。逆に、マッチョな筋肉というのはダメなんだって。あれはだいたい短命になるらしいです。ジムで鍛えると表面だけマッチョになるけど、それは人間にとっては不自然なんだとか。
西任:ふーん……。
大久保:江戸時代は一般的に平均寿命が短かったんだけど、その中で40代の関取とかいたらしいのね。それは四股(しこ)ばっかり踏んでて、「てっぽう」という摺り足をやってたからなんだって。今のお相撲さんは現役時代の寿命が短くて30代くらいでしょ。なぜかと言うと筋トレをやってるからだって。
西任:お相撲さんも筋トレをやってるんですね。
大久保:四股を踏まなくなったのもあるらしい。やってないわけじゃないんだけど、回数が少なくなっていて、結果、寿命が短くなってるそうですよ。
西任:へぇ……。
大久保:この安田さんって人は超秀才。本もたくさん書いているので読まれたらいいですよ。で、能の世界の人だから世阿弥の言葉を解説していて、「初心」というのはそういう意味だと書かれています。
あと、「不惑」っていう言葉があるじゃないですか。「四十にして惑わず」っていうアレね。それにも深い意味があって、古い時代の中国には「心」という文字がなかったそうなんです。だから、「惑」は「或」と書いたんだけど、これも古い枠を切りなさい、捨てなさいっていうのが本来の意味で、「惑わず」とか「惑う」っていう意味ではないんだって。
西任:へえ、全然意味が違いますね。
大久保:この人は健康法にも呼吸法にも詳しくて……。
西任:今まさに、コロナウィルスのときだから大事じゃないですか!
大久保:だから、能の舞台のような発声と動きをみんなでやったら、コロナは怖くないでしょうね。でも、その笑顔があれば大丈夫ですよ!
西任:ハハハハハ(笑)。
大久保:もう十年以上も前から言われているけど、がん患者をヨシモトに連れて行ったら、全員キラー細胞が増えて免疫力が上がったわけですよ。比率はそれぞれ違うけれど、全員上がったんです。で、後日大学教授の話を聞かせたら、全員下がったと。
西任:ハハハハハ(笑)。
大久保:たまたまその先生の話がおもしろくなかっただけで、全部の先生の話がつまらないというわけじゃないんですよ(笑)。でも、その話を聞いたときに思い出したのが、組織の中で部下を怒るとかしてモチベーションを下げる人のこと。
西任:はい。
大久保:いるじゃないですか、そこにいるだけでモチベーションを下げる人って。そういう人は出社しないほうがいいし、出社したら個室に隔離しないと(笑)。
西任:ハハハハハ(笑)。
大久保:結構まじめにそう思ってるんですよ。だっているでしょ、社員が明るく職場に入ってきたのに、「あ、部長がいる……」って気づいたらシーンとさせちゃう人って。あれって、今で言えば免疫力を下げてるんですよ、絶対に。逆に、いるだけで明るくなる人もいるでしょ?
二択でね、仕事はできるけど、暗くてまわりの人のキラー細胞を減らす人と、仕事はできないんだけど、明るくてまわりの人のキラー細胞を増やす人がいたら、今要求されてるのは……後者だよね(笑)。
西任 :(爆笑)みんなでいっぱい笑って、能の呼吸を学んで、この時期を乗り越えていきましょう!
*本稿は、西任さんが主宰する AkikosBookClub の動画をもとに再編したものです。(編集部)
大久保寛司( Okubo Kanji )
「人と経営研究所」所長。
日本IBMにてCS担当部長として、お客様重視の仕組み作りと意識改革を行う。退職後、20年間にわたり、日本中のいい会社を訪ね回り、人と経営のあるべき姿を探求し続けている。
「経営の本質」「会社の本質」「リーダーの本質」をテーマにした講演・セミナーは、参加する人の意識を大きく変えると評判を呼び、全国からの依頼が多数寄せられ、延べ10万人以上の人々の心を動かしてきた。特に、大企業・中小企業の幹部対象のリーダーシップ研修、全国各地で定期的に開催されている勉強会では、行動変容を起こす人が続出している。
著書に『考えてみる』『月曜日の朝からやるきになる働き方』『人と企業の真の価値を高めるヒント』など多数。2019年に、「『やり方』(HOW TO)から『あり方』(BEING)へ」を掲げた『あり方で生きる』を上梓。
◆『あり方で生きる』の紹介◆
「やり方」(HOW TO)から「あり方」(BEING)へ。どんなに「やり方」を学んで、「やり方」だけを変えても、それだけでは、決してうまくはいかない。自分の「あり方」を見つめ直し、心の原点に戻ることで、自分も周りも幸せにする「生き方」。10万人以上の行動を変容させてきた、伝説のメンターが問いかける「自分が変わる」ための50の言葉と向き合うための一冊。著者本人による「VOICE NAVIGATION」もご視聴いただけます。
大久保寛司(著)『あり方で生きる』
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西任暁子(Nisito Akiko )
大阪生まれ、福岡育ち。
アメリカへ高校留学した後、慶應義塾大学総合政策学部に入学。
在学中からFMラジオのDJとして第一線で活躍し、独立後はスピーチコンサルタントとして活動する。
その後、すべての活動を休止。自己探求の2年を過ごす中で、自己の本質に気づく。現在は、オンライン読書会「Akiko’s Book Club」や自己の本質に出会うための「Akiko’s LIFEclass」、またYouTubeなど、自分に出会い、自分を生きるための学びの場を創造している。
著書に『「ひらがな」で話す技術』(サンマーク出版)、『話すより10倍ラク!聞く会話術』(ディスカヴァー)、『本音に気づく会話術』(ポプラ社)、『タイプ別対処法を伝授! 伝わる話し方のコツ (超役立つ! 社会人の常識手帳)』(ナツメ社)音楽作品に『ふたりでみてたもの』(LaRA名義)、『If you go away』(ポリスター)など。
◆『本音に気づく会話術』の紹介◆
会話をするとはそもそもどういうことなのか、話はなぜ相手に伝わるのか、どうして多くの人が感情に振り回されてしまうのかなど、普段当たり前に行っているコミュニケーションについて根本から考えていきます。ビジネスシーンに限らず、大切な家族や友人との関係作りに役立たてられる、あらゆるシチュエーションに応用可能な実践的会話スキルが身に着く一冊です。