「人と人が『分かり合う』ということ」伝説のメンター・大久保寛司’s RADIO「あり方研究室」VOL.79

大久保寛司さんのRADIO「あり方研究室」!

第79回のテーマは「人と人が『分かり合う』ということ」です。

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■VOL.79「人と人が『分かり合う』ということ

GUESTは、尾中友哉さん。③です。

こちらからお聞きいただくことができます。↓

これまでの「あり方研究室」の再生リストです。

こちらから、過去のGUESTの対談は全てご覧になれます。

https://youtube.com/playlist?list=PLvUYkPOFnpyS2iLp9MnVMW4DXWfN8TjZn

大久保寛司さんは、長年、日本中のいい会社と呼ばれるありとあらゆる企業を訪問し、その本質を洞察し、その経験を活かして、多くの経営者から師と仰がれ、のべ10万人以上の人の行動を変容させてきた「伝説のメンター」と呼ばれる方です。

2020年以降、これからは「風の時代」になると言われています。

所有から共有へ、ひとりひとりの個性・オリジナルが尊重される世界へなど、「ジャッジしない」「本質的なつながり」の時代が到来するようです。

そして、令和の時代、そしてWithコロナの時代は、「あり方」の時代になっていくと思います。

これまでは、目を外に向けて、社会の中でどう上手くやっていくか、どうしたら、この社会に適合し、成功するかといった「HOW TO=やり方/LIFE STYLE」がフォーカスされ、よりよく成長しながら生きていくという視点が主流でした。

これからは、指を自分に向けて、ありのまま、あるがままの自分とつながって、日々、自分はどうありたいかという「BEING=あり方/LIFE STANCE」をセンターにして、自然に豊かに生きていくという観点にシフトしていくのではないでしょうか。

〜この研究室は、私が皆さんと共に学ばせていただく場です〜大久保寛司

「あり方」について、「教えてほしい」という姿勢ではなく、自分なりに考え、学ぼうとする方は、皆さん、この研究室の研究員です。共に学んでいきましょう!

今回のGUESTは、尾中友哉さんです。

尾中友哉さんの考える「コミュニケーションの本質」とは何か。

尾中友哉さんと、大久保寛司さんの洞察に溢れた、お二人の対話を、是非、ご覧ください。

【尾中 友哉さん】PROFILE

Silent Voice 代表

平成元年生まれ、滋賀県大津市出身。聴覚障害者の両親を持つ耳の聞こえる子ども(CODA)として、手話を第一言語に育つ。2014年より、DEAF特有の「コミュニケーションの壁を乗り越える力」を実践的に習得する企業向け研修プログラム「DENSHIN」を提供開始。

2017年には教育分野へも参入し、ろう・難聴児向けの総合学習塾「デフアカデミー」を創設。教育・就労という二大テーマについて「DEAFと社会の関係性を変える」ビジネスを創出・展開しつつ、自治体の委員や企業のダイバーシティ事業部などへ相談役として参画。

また、社会起業家として、ニュース番組のコメンテーターやビジネスコンテストの審査員を務めるなど、幅広く活動を展開。

■Silent Voice HP
https://silentvoice.co.jp/

■尾中さんインタビュー記事「「聴覚障害者」への負のイメージをなくしたい。心の声に耳を傾け、たどり着いた夢」
https://an-life.jp/article/1184

■お話に出てくる「聴覚障害をお持ちのお母さん(尾中幸恵さん)のドキュメンタリー」
https://www.youtube.com/watch?v=jI2diHkLyGI

■「ヒゲの校長」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000092687.html

■主な登壇・受賞歴

◎青年版国民栄誉賞 人間力大賞内閣総理大臣奨励賞 グランプリ および 全国商工会議所会頭賞 / 主催:日本青年会議所

◎JCI Ten Outstanding Young Persons of the World JCI TOYP 2019

(世界の傑出した若者10名)選出 / 主催:JCI(国際青年会議所)

◎日本財団主催「ソーシャルイノベーションアワード2019」最優秀賞受賞

◎みんなの夢をかなえる会主催「みんなの夢AWARD8」グランプリ受賞

◎内閣府コアリーダー事業障害分野 フィンランド派遣団 日本代表青年選出

◎大阪府障害者雇用貢献企業「ハートフル企業チャレンジ応援賞」受賞

◎大阪府障害者施策推進協議会手話言語条例評価部会 委員

◎厚生労働省指定 国家資格キャリアコンサルタント更新講習 「聴覚障害者のキャリア開発」受託

◎TEDxKobe 2017 登壇 「DEAFの聴く力で豊かになるコミュニケーション」

VOL.79のRADIOから、一部内容を抜粋してご紹介します。

■VOL.79

「人と人が『分かり合う』ということ

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大久保:元々の尾中さん自身の育った家族のお話が、今のサイレントボイスという会社を作るベースになってるわけですよね。生まれた時から今に至るまでの行路をちょっとお話ししていただけたらと思います。

尾中:私が聞こえない両親の元に生まれたという、この個性に気付いたのは23歳の時でした。大学も滋賀で卒業して、東京の広告会社に就職した時、当初は高いビル群にきょろきょろして、首が痛くなっちゃったというぐらいでした。

広告会社ではテレビ局の担当で、毎日毎日違うテレビ局さんと飲みに行って、二日酔いって言葉じゃ足りないよっていうぐらい、もう三日酔い、四日酔い、一週間酔いみたいな感じだったんです。

ある日酔っ払って、銀座の奥の細道で寝てしまったことがあって、朝方になって起きたらカラス3羽ぐらいに突つかれていたんですよ(笑)。

その時、自分は「何で働いてるんだろう?」と考えたんですよね。

「何で働いてるんだろう?」という問いが、「何で自分は生きてるんだろう?」ということにどんどん入っていって、すごい悩んでいってしまったんです。それまでは、「自分はどうやったら同期と差別化できるんだろう」とか「すごい人になれるのかな」みたいなことをずっと考えいてたんですよ。でも、現在の自分も掴めないし、未来の自分も掴めないし、未来も掴めないから現在もよけいに掴めない。もうその時に、見るものが、過去しかなかったんですね。

大久保:なるほど。

尾中:そんな時、東京のお団子屋さんでレモン団子が人気のお店があって、みんな15分ぐらい並んで買うんですけど、そこに並んでいると、一番前のお客さんに向かって、店員さんが「みたらし団子の餡がレモン団子につくからラップで包みますか!?」と全力で叫んでいたんです。「一番前のお客さん、耳聞こえないわ」と思って、前に出て行って通訳したんですよ。

元いた場所に戻ろうと思ったら、後ろのおじさんが前に詰めていて、一番後ろに並び直しになってしまったんですが、肩をぽんぽんと叩かれて、さっき通訳したろう者の方が、お団子を下さったんですね。そのことが、「何で生きてるんだろう?」と思っているやつが、自分の過去にふと出会った瞬間だったんです。

それまで、自分が手話ができることとか聞こえない両親の元に生まれたこととか、本当に私は忘れていたんですね。

そこから、保育園で面倒を見てくれた先生とか両親の両親とかそういう人に話を色々聞いて、私が人間になった日のエピソードに出会うんです。

それが木苺のエピソードです。

私は平成元年に生まれて、生まれたときには多分、「おぎゃあ」って、声を出して泣いていたと思うんですよ。ただ、両親はそれを聞こえないわけですね。今、32歳の私の声も両親はいまだに知らないと思うんですけれども。

親から子どもへの語りかけの声なんですけど、うちの場合は手話だったわけです。そうすると、私の生まれて初めての発語は、0歳9か月の時に、泣いても親は気付かないというのが分かって、舌を出して指をさすいう指差しから始まっているんです。これは、「お腹が減った」ということを自分は表してたんですけど、そんな風にして自分は手話をバンバン獲得していきました。

保育園に入って、私は手話で話すことが当たり前ですから、まだ友達にもなっていない年の同じぐらいの子ども達に、手話で自己紹介をはじめるわけです。そうすると、最後に手話で自己紹介した男の子が、僕が頭の上で手を震わせているから、私のことを「魔法使いだ!」と言ったんです。

その時、自分は嬉しかったのか悲しかったのかと言うと、「魔法使い」という言葉の意味が分かりませんでした。

大久保:そうか。手話しかやっていないから。

尾中:そのとき、私自身、コミュニケーションの壁というものに強く当たったんだということを、後日、保育士の先生が教えてくれました。

私は、幼い頃、人が眉間にしわ合わせるのが凄く怖かったんです。

これは中学生ぐらいの時までそうでした。

一緒にサッカーとかしていても、3歳とか4歳のときは、それこそ、あんまり言葉で言わないじゃないですか。ただ、大きくなってくると、みんな、作戦とかをすごい高度な言葉を使って話し始めるんですね。そうすると、私が作戦が分からないと、みんな、眉間にしわを寄せるんです。

それが怖くてたまらなかったし、みんなが歌っているところとか、そういう聞こえる人の文化の中に私は入れなくて、保育園で最初入りたてのときには、友達が全然できなかったんですね。

お母さんが迎えにきてくれたら、もう泣いてお母さんに取り付いて、手話でお母さんと話していました。

一番怖かったのが遠足です。

「遠足まであと10日!わー!」みたいな感じで、遠足までのカウントダウンを毎回、帰りの会でやるんですけど、私は全然楽しみじゃなくて、みんなが鬼みたいに見えて怖かった。

それで、遠足の前日になって、お父さんとお母さんに「遠足行きたくない」ということを言ったらしいんです。お母さんは応援のために、アンパンマンのキャラ弁みたいなのを作ってくれて、私は渋々行くことになりました。

遠足では、みんなは先に手をつないで、山に登るんですが、私は保育士の先生と登っていました。

頂上で一休みした時、ちから君という子が、小さい粒の「木苺」を僕のために持ってきて、手の平を広げて見せてくれたんです。

私が言葉が通じないのは分かっていたので、目の前で食べて見せてくれたので、私も真似して食べました。

そして、山を下りる時には、ちから君と手をつないで下りていきました。

その時に、Tシャツの真ん中あたりが、ひょこひょこ動いてるような感じがして、心臓がここにあるって分かったんです。本当にドキドキしてしまったんです。

私の名前は、友達の「友」に木村拓哉の「哉」って書くんですけど、あなたの名前は、友達の「友」だよ!ってお母さんが、いつも「手をつなぐ」みたいな手話を見せてくれていました。

だから、ちから君の手を繋いだ時に、これが「友達」だって分かったんですね。

本当にもうドキドキしてしまって、その日は、凄い処理しきれないような思いを持って、お母さんが迎えに来ても、私ははじめて泣かなかったらしいんです。そして、この思いを、お母さんに伝えたくて、お母さんに伝えようと思った時に、「木苺」という日本語の手話が分からなかったんですね。

大久保:そりゃ、そうですね。

尾中:文字も書けませんから、ジェスチャーゲームのようなものです。

同じものがあれば伝わると思って、住宅街にお母さんと手を繋いで出かけてみたり、いろいろな手を尽くしたんですけど伝わらなくて、お母さんも私も涙が出てきたんです。

日が暮れて、お父さんが帰ってきて、状況を掴むと、リビングの真ん中にあった遠足の資料を持って、家族みんなで車に乗ると、遠足で歩いた道を車で行きました。

私が「この辺だー!」と、車を降りて茂みの中に入っていって、家族3人で何を探してるかも分からないけど、探していたんです。

そして、ついに私が木苺を見つけた時には、お父さんが私を抱きかかえてくれました。

この時に、自分は初めて、人間になったんじゃないかなって、今振り返って、思っているんです。

初めてその時に、「努力すれば報われるんだ」ということとか、「人とはこうやって分かり合えるんだ」ということとかがわかって。私の今の原点は、そこにあるなって思います。

大久保:尾中さんのこの木苺のお話を、以前聞いたときに、私は鮮明に覚えています。これが尾中さんの大きな原点ですよね。その時に、この原点とか過去の貴重な体験を生かすことをやろうという風に考えられたわけですね。

尾中:そうですね。寛司さんの前で木苺の話をした時も、その当時は、本当にそれしかなかったというか、自分が心の底から感動して人にシェアできるものというのがそれしかなかったですし、そこからの広がりの中で探していくしかないなって、そういう感覚だったと思います。

つづく

✳︎尾中さんとの対話は、④につづきます。

大久保寛司(おおくぼかんじ)

「人と経営研究所」所長

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日本IBMにてCS担当部長として、お客様重視の仕組み作りと意識改革を行う。退職後、「人と経営研究所」を設立し、20年間にわたり、人と経営のあるべき姿を探求し続けている。「経営の本質」「会社の本質」「リーダーの本質」をテーマにした講演・セミナーは、参加する人の意識を大きく変えると評判を呼び、全国からの依頼が多数寄せられ、延べ10万人以上の人々の心を動かしてきた。

特に、大企業・中小企業の幹部対象のリーダーシップ研修、全国各地で定期的に開催されている勉強会では、行動変容を起こす人が続出している。

著書に、『考えてみる』『月曜日の朝からやるきになる働き方』『人と企業の真の価値を高めるヒント』など多数。

大久保寛司著「あり方で生きる」

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■書籍「あり方で生きる」には、章ごとに、大久保寛司さんの音声ナビゲーションが付いています。

「はじめに」「おわりに」の部分は、下記から無料で聴けますので、よろしければ、こちらから、お聴きいただければと思います。

■「あり方で生きる」音声ナビゲーション

✴︎

VOL.79のお話に関連する「あり方で生きる」の中の1項目です。

35「言葉の本質はエネルギー」

35 言葉の本質はエネルギー

これまでの「あり方研究室」はこちらから、どうぞ!↓

大久保寛司の「あり方研究室」note記事

㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

(株)エッセンシャル出版社
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